電子書籍のつくりかた

[9]結局どれがいいの?

[9]結局どれがいいの?

ここまで4つの「EPUBファイルのつくりかた」を紹介してきましたが、みなさんが知りたいのは「結局、どれがいいの?」ということでしょう。とはいえ、それが一番難しい質問だったりするのです(電子書籍に限った話ではありませんが)。

 

すでにInDesignを使っていて、印刷物を電子書籍化したいというのなら、InDesignでしょう。期待通りのEPUBにはならないかもしれませんが、クセをつかんでしまえば、最初から「電子書籍にしやすい印刷物」をつくることが可能です。ただし、「電子書籍のためにInDesignを買う」という選択肢はありません。プロ用のDTPアプリなので、導入コストが高すぎます。
ちょうどワープロソフトを探していた、とか、ATOKが欲しかったんだよな、という人には一太郎 玄も有力な候補でしょう。が、そういうタイミングの合う人でないと、一太郎 玄を選択しずらいのも事実。汎用性はあるので、高い買い物にはならないでしょうが、電子書籍のためだけ……というのであれば、おすすめしにくい選択肢ではあります。

 

手っ取り早く電子書籍をつくりたい、売りたいという人には、EPUB作成サイトが最適です。なんせ書店サイトも兼ねていますし。こまめなアップデートができるので、常に制作環境が改善されていくというのも魅力。
ただし、できあがるEPUBファイルの精度には、疑問が残ります。「サイトでつくったEPUBファイルをチェックしてみたら、エラーがたくさん出てきた」という例もあります。それと、すべてのサービスが無料ではないことにも注意が必要です。とりあえず登録してつくりはじめたものの、やりたいことは有料だった、というケースも考えられます。もちろん、有料でもあなたが納得できるものならばいいのですが。

 

本格的に電子書籍について勉強したいという人には、でんでんコンバーターはうってつけ。また、HTMLやCSSの知識はあるし、制作環境もあるなら、コンバーターでベースのEPUBをつくってしまって、EPUBを自力でつくった方がわかりやすいかもしれません。逆に言うと、そういう人でもない限り、コンバーターで電子書籍をつくるという選択肢はおすすめしません。

 

EPUB作成専用アプリは、なによりも「専用」という強みがあります。「EPUBファイルをつくったけど、うまく表示できなかった」なんてトラブルは少なくなります。
「いろいろ説明されたけど、よくわからない」という人には、FUSEeは絶対的なおすすめです。ただし、シュミの範疇の場合、35000円という価格を出せるかどうかは難しいところでしょう。汎用性には期待できないので、「やーめた」となれば、痛い出費となります。電子書籍をつくることだけが目的ならばいいのですが、儲けることを考えている人にとっては、これはなかなか大きいコストです。正直、FUSEeの価格以上に儲けることは、至難の技なのです。
そこへいくとsigilは無料ですが、英語版という壁があります。その壁を超えたとしても、「sigilでできるのはEPUB2」という、もうひとつの壁があります。壁といっても、それほどの難題ではないのですが、ここがネックになるという人もいるでしょう。

 

どの方法には、メリット・デメリットがあり、「これを使えば問題なし」という方法は存在しません。それぞれの方法の特徴をよく理解して、自分にはどれがいいのかを選択するしかありません。

 

2013/06/30   admin
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